「弱さ」と向き合っていくこと ~『薫る花は凛と咲く』第57話後の備忘録~

マンガアプリ「マガポケ」にて現在連載中の青春恋愛漫画『薫る花は凛と咲く』。

薫る花は凛と咲く - 三香見サカ / 【第1話】凛太郎と薫子 | マガポケ

隣り合う場所にある底辺男子高校と名門お嬢様高校、そこに通う高校2年の紬凛太郎と和栗薫子とが出会い、恋を育んでいく様を描いていく作品です。


さて、先日この作品の第57話が配信されたのですが、その中の描写が自分の中で刺さったのに加えて、自分がこの作品に求めている部分をまた見ることができるのかもしれない!という想いが湧き上がってきました。
その想いというか、考察と言うにはあまりにも稚拙かつ作品の描写をまとめ上げただけのものをただただ吐き出したいがために、この文章をしたためて放出しようかなと。ほぼほぼ駄文に近いですが、お付き合いをば。

 

『薫る花』の大きな話の区切りとなると、やはり夏祭りで凛太郎くんと和栗さんがお互いに好きという気持ちを伝えあって、晴れて恋人同士となる場面でしょう。
そこまでに至るまでに2人がお互いに近づいていくいじらしいラブコメ的な展開もすごくキュンキュンしてとても甘くて美味しかった!

ただ、それと同じぐらい自分が良いなって感じた部分が「凛太郎くんが今まで諦めてきたもの、失ったものを取り戻していく」ことなんです。

 

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(四次元マンションさんのポッドキャストラジオからお借りした表現になります。このラジオを聞いて、自分の想いを文字におこしたい!となり、この文章を書いています。ありがとうございます)

今まで凛太郎くんが築いてきた壁を破っていた和栗さん。彼女がきっかけで、凛太郎くんは周りの人からの優しさを見ることができ、優しさを諦めずに受け止めることができたんです。

2人は恋人となって幸せー!これからイチャイチャ見ていくぞーーー!って気持ちにもなるんですけど、自分としてはそれとは別にみたいなぁって思っていたことがあって。
今まで和栗さんのおかげで凛太郎くんが変われたのであれば、逆に凛太郎くんが和栗さんに対してなにかできることはないのかな?と。
凛太郎くんが友達の力を借りながら和栗さんにいい影響を与えていくって過程をもっと見てみたいなって思っていたんです。
第56話でも凛太郎くんは、和栗さんからもらったものを返せるようになりたいという想いを、彼女の母親に伝えていました。



じゃあ、凛太郎くんが和栗さんに対してできることって一体なんだろうか?
そこにワクワクしながら恋人同士になったあとも読んでいたときに、大きな示唆が第57話で飛び込んできたんです。
和栗さんはどんなに辛そうな場面でもいつもみたいに笑っていたこと、そんなお姉ちゃんに気持ちをぶつけられる場所があったのか弟の洸介くんは心配していること、そして和栗さんの弱い部分を凛太郎には見せられるかもしれないということ。
これが一気に提示されて、自分は今までのあれこれがすごく目に浮かんでくるようで感情が溢れ出してきたんです。

和栗さんの今まで見せてきた『強さ』は、どんなときでも笑顔を絶やさずに受け止めていけることだったと思うんです。そしてそれは多分、和栗さん自身がそうありたいと無意識のうちに思っている『強さ』なんだと思うんです。

ただそれは裏を返すと、自分の持っている『弱さ』を人に見せずに溜め込んでしまうんじゃないかなって感じてしまうのです。
第3話で見せられたように、和栗さんはなんだかんだ自分が頑張らなきゃいけないってプライドが高い面があって。
第11話では彼女の幼なじみである保科さんに対して、自分の『弱さ』に押しつぶされている様子は嫌だと言っていました。でもそれは、自分自身に対しても同じことを思ってるんじゃないのかなって。
自分の『弱さ』を他人に見せていくことをとっても恐れているんじゃないのかなって感じちゃうんです。

もちろん、辛いときでもいつでも笑顔でいることはとっても『強い』ことで、すごいことではあるのです。でも、辛いことをためこんで『弱さ』を溜め込んで、いつかそれが良くない形で決壊してしまうんじゃないのか。そこがとっても心配になってしまうんです。

 

そんなときにふと思い出してきたのが、和栗さんが初めて凛太郎くんに会ったときのことで。あのときの和栗さんは気持ちが堪えていたことが明言されていて、そんな和栗さんに対して優しく声をかけてくれたのが凛太郎くんでした。そこで和栗さんは泣いたんです。『弱さ』を見せたんです。そして、恋に落ちたんです。
凛太郎くんはきっと、和栗さんの心の拠り所になるはずなんです。『弱さ』をちゃんと受け止められる関係になれる説得力がすごくあって、すごくいいなって感情が湧き上がってきたんです。

 

和栗さんが見せる『弱さ』。それはきっと凛太郎くんにとっても、そして読者にとっても辛いものになるんだと思います。ただ、その悲しみ辛さを目一杯受け止めて、考えて、どう昇華していけばいいんだろうと考えていき、対話していく、その過程が自分は一番みたいな思っているんです。

そんなこんなを考えてたときに配信された第58話。おそらく、大きな試練になると思います。もちろん学校同士のいざこざも大きな試練でしょう。でも、それ以上に和栗さん自身が同じ学校の友達と断裂してしまうんじゃないか、そしてつらい気持ちという『弱さ』を溜め込んでしまうんじゃないか、そっちのほうが大きな問題になっちゃうんじゃないのかなと。
両方の問題に対して、どう凛太郎くんは向き合うのか、ドキドキしながら楽しみに読んでいきたいなと思っています。